はじめに
愛用しているトラックボールマウスLogicool MX Ergo S MXTB2(MR0113)で左クリックのチャタリングが発生したので、スイッチを交換して修理しました。
前モデルであるMX Ergoのスイッチ交換記事はいくつか見つかりましたが、後継機種であるMX Ergo Sの情報は少なかったため、交換手順を記録しておきます。
注意事項
- この作業は自己責任で行ってください。修理に失敗するとマウスが完全に壊れる可能性があります。
- 分解するとメーカー保証の対象外になります。保証期間内の場合は公式サポートへ相談することをおすすめします。(Logicoolサポートは保証期間内であればチャタリングでも交換に応じてくれる可能性が高い)
- 接点復活スプレーは使用しないでください。旧モデルとスイッチ構造が異なるため、スイッチが破損する可能性があります。
- 接点復活スプレーを左右スイッチに使ったら、正常だった右クリックも押した感覚がなくなってスイッチが完全に壊れました。
利用機材
交換部品
- タクトスイッチ:左右クリック用スイッチ
以下の6 mm×6 mm×7.3 mmサイズで消音タイプのKailhタクトスイッチが適合しました。
選定の参考にさせていただいた投稿:
MX Ergoで使われていたマイクロスイッチとは異なり、MX Ergo Sではタクトスイッチが使われています。購入する際は、サイズや形状をよく確認してください。
なお、私は中の基板を確認せず購入したので、MX Ergo(旧機種)に適合するマイクロスイッチを間違って購入しました。
工具
- トルクスネジ(T6サイズ)に適合するヘックスローブドライバーまたはビット:カバーの分解に必要
穴の深い場所にネジがあるので、精密ドライバーキットに付属の短いビットだとネジまで届きません。直径約4 mmの穴に入る先の細い部分が15 mmくらいは必要なので、ドライバー単体を買うか、長さのあるビットを使う必要があります。
私は、下の電動ボールドライバーに取り付けられるタイプのヘックスローブビットセットを利用しました。
リンク - 精密プラスドライバー(PH00):カバーを開けた後の基板の分解に必要
- はんだこて
- ヤニ入りはんだ
- はんだ吸取器・はんだ吸取線
以下は任意の道具
- ピンセット・先細型ラジオペンチ:フラットケーブルの取り外しやホイール脱着に利用
- 逆作用ピンセット:スイッチの取り外し・取り付けや基板の固定にあると便利
- 無水エタノール:はんだ付け作業後に基板についたフラックスを洗浄するために使用(専用のフラックス洗浄剤がある場合は、そちらが適しています)
修理手順
カバーの取り外し
まず電源スイッチを切ってトラックボールを外してから、マウス裏側の6箇所のネジをトルクスドライバー(T6)で外します。
ネジを全部取ったらカバーを上下に取り外します。外周の隙間に爪を掛けると、比較的簡単に外せます。
基板の分解
まずは上下のカバー間に繋がっているフラットケーブルを基板から外します。
外し方は、基板上のコネクタの黒い爪の部分をピンセットやラジオペンチなどで上に引っ張ってからケーブルを引き抜きます。(勢い余って爪を分離しないように注意)
長期間愛用している方は手垢やゴミが基板の奥から出てくると思うので、分解しつつ清掃してください。
そうしたら、基板やパーツに付いているネジを外してメイン基板を取り出します。
ネジが多いので、元々付いていた場所を忘れないようにしてください。
大まかな手順は次のとおりです。ネジとコネクタの位置は、分解前に写真で残しておくと安全です。
- バッテリーに繋がっているコネクタを外し、バッテリー土台のネジを外す
- 左上の基板のネジを外す
- ホイール部分を外す(前側の軸のところをペンチなどで上に押すと外せます)
ホイールの前部分 - フラットケーブルを外して、基板のネジを全部外したら基板を取り出す
スイッチの交換
メイン基板が取り出せたらスイッチの交換作業に入ります。今回交換するのは、左右クリックに対応する黄色いタクトスイッチです。
まずスイッチを外します。
外し方はいくつかありますが、今回は次のように外しました。
- スイッチの裏側の端子にはんだこてを当てつつ、追加ではんだを流し込む(元々付いているはんだは融けづらいため、追加してはんだとフラックスを供給する)
- スイッチと基板の隙間に逆作用ピンセットなどをねじ込む
- 端子のはんだを融かしながら、ピンセットを奥にねじ込んだり、てこで持ち上げたりすることで、スイッチを外す
スイッチを外したら、基板に残っているはんだを、はんだ吸取線やはんだ吸取器などで取り除きます。新しく取り付けるスイッチの端子が通る程度に穴の中のはんだが取り除けていれば問題ありません。
あとは、新しいスイッチを取り付けます。しっかりと基板とスイッチが密着するまで差し込んでから、端子をはんだ付けします。逆作用ピンセットなどでスイッチを押さえておくと確実に密着させられます。
はんだ付けできたら、フラックス洗浄剤や無水エタノールなどで基板についたフラックスの汚れを拭き取ります。
再組み立て
外したときの手順を逆順にして元通りに組み立てます。
フラットケーブルは、爪を上げた状態でケーブルをしっかりコネクタの奥に差し込んでから、爪を押してはめるようにしてください。
動作確認して正常にクリックが機能すれば修理完了です。
静音タイプのスイッチに交換したため、クリック音も静かになりました。
まとめ
多少面倒ですが、新品に交換するよりも大幅に安く修理ができました。
耐久性は新品マウスほど保たないかもしれないですが、故障してもスイッチが余っている(今回買ったのは20個入り)ので、また交換すれば延命できます。
保証が切れたMX Ergo Sでチャタリングが起きてしまったら、新品を購入する前に自力でのスイッチ交換修理にトライする価値はあると思います。